
ここに一つのデータがあります。
抜髄(神経をとる処置)とは一般的にはじめての根の治療を意味し、感染根管治療とは一度根の治療を行ったのだけれども、痛みや違和感が続く、もしくは再発した場合に行われる治療で、一般的に一度以上処置の手が入った歯に対する根の治療をさしていいます。
これが意味するのは、ほとんどやり直しになっているということ。
北米では、根の治療はイニシャルトリートメント(最初の治療)かリトリートメント(再治療)かという分類が一般的なのですが、リトリートメント(再治療)の成功率はおしなべて低く、またリトリートメント(再治療)を2〜3度繰り返すと、歯が薄くなってもう再治療ができなくなってしまう(抜歯になる)ことが多いのです。


模式図にすると簡単な歯の神経・血管のスペース(歯髄腔)は、実は大変複雑です。主たる神経管(根管)が複数あったり、根尖という根の先っちょには根尖孔という神経・血管の出入り口があるのですが、1根管に3.31個の出口があるとも言われています。これら根管の複雑性が再治療を生み出すのです。
その繰り返しの結果抜歯? 神経をとることが将来の抜歯を予感させる? 本当にそうでしょうか? イニシャルトリートメント(最初の治療)の成功率を限りなく高くし、リトリートメント(再治療)を打ち止めにするために有効な方法があります。北米の専門医が採用するシステムです。現代的な歯内療法はその成功率をきわめて高くすることに成功しているのです。(2008年11月米国歯内療法学会雑誌より)
当医院の院長は2000年より世界最大の歯内療法器具の製作メーカーであるデンツプライの日本支社インストラクターを拝命し、北米の専門医たちが行う歯内治療を追いかけ、その知識や技術の日本のドクターへの普及に努めてきました。
すでに記したように、リトリートメント(再治療)の成功率は低いのです。従って歯内療法を成功に導くための第一歩はイニシャルトリートメント(最初の治療)を成功させることです。いわゆる抜髄(神経をとる)でスタートする治療をうまく行うことが大切なのです。
まずそのために当医院では、著しく成功率を高くしているその北米、特に先取性の高い西海岸のシステムを採用しています。(御希望の方に自費診療で提供)
歯内治療の対象となる根管(歯根の中の神経管)は大変複雑で肉眼による治療には限界があります。マイクロスコープの使用は米国の専門医治療では一つの条件です。

曲がりくねった複雑な根管を洗浄や薬剤の充填のために拡大するには、ニッケル・チタン製のファイルの使用が、米国の専門医ではほぼ常識となっています。

日本の国民健康保険では、ファイルは洗浄し滅菌し再利用することとなっています(材料費の負担はなし)。刃物である性質上頻回使用では切れ味が落ちます。
根管内の洗浄薬剤と洗浄時間についてはほぼ結論が出ています。もっとも新しい根管洗浄の基準を、もっとも効率的な器具で行います。

根管治療の最終プロセスである根管充填(根管にお薬を詰めること)に、現状もっとも緊密に充填可能と思われる方法(垂直加圧根管充填)を採用しています。

さて、実際来院されて治療に至るケースでは上記の東京都のデータでもそうなっているように、当医院においても80%以上がリトリートメント(再治療)です。このリトリートメント(再治療)の成功率を高めるために、当医院では2つのアプローチをやはり米国の専門医レベルの技術で提供しています(御希望の方に自費診療で提供)。
問題は根尖1/3(根管治療のレッドゾーン)
根管の形態は実に複雑で、曲がっていたり、分岐したり。統計的にも根の先端付近で急に湾曲していることが多く、また先ほどの話にでた複雑な神経・血管の出入り口。なんといっても根尖1/3が、この治療のレッドゾーンとなっています(右図)。
レッドゾーンへの2つのアプローチ
イニシャルトリートメントがうまくいかず、この部分に問題が出た場合、アプローチの仕方は二通りです。
非外科的歯内療法を効率よく行うために
リトリートメント(再治療)の成功率を高めるために、イニシャルトリートメント(最初の治療)同様顕微鏡を使用する、米国の洗浄の基準を守る、などは当然として、まずリトリートメント(再治療)を行うためには、現在入っているクラウンやコア(歯内療法後にクラウンを入れるために、歯の中に入れる芯)を除去しなければなりません。ただし、再治療後の予後をよりよいものとするために、歯質の削除を最小限にしなければなりません。そのために、専用のツールを準備しています。
エンドドンティック・マイクロサージェリー(現代的な外科的歯内療法)
外科的歯内療法では歯肉を切開し、根尖部へ直接アプローチし、問題となる根の先端をカットします。ただ侵襲を最小限にしなければいけません。そのために米国発のマイクロサージェリーが効果をあげています。手術用顕微鏡、マイクロメスやマイクロミラーといった特殊な道具立てで挑みます(逆根管充填材料にはMTAという特殊な薬剤を用います)。エンドドンティック・マイクロサージェリーの流れ »




日本の根管治療の治療と世界の平均的な治療費の比較です。
| 専門医での大臼歯抜随治療(1歯) | 1500ドル | 約14万円 |
|---|
米国の物価を日本の3分の2と仮定しますと、専門医の治療費は日本の物価換算で約21万円に相当します。

| 健康保険での抜随治療(1歯に根管1本の場合) | 2200円 |
|---|---|
| 健康保険での抜随治療(1歯に根管3本の場合) | 5700円 |